社会不安障害の治療
社会不安障害は、対人的なストレスが他の人よりも強いために起こります。人からどのように見られているのかを必要以上に気にしてしまう病気です。人前で顔が赤くなる、震えが出る、たくさん汗をかく、お腹が痛くなるなどの症状が現れることもあります。
その結果、「失敗したらどうしよう」とさらに不安が強くなって、人と会うのを避けるようになり、仕事や学業などに支障をきたします。また、人前で失敗して悩み続ける方もいらっしゃいます。
しかし、早い段階で問題が解決すれば、病気のレッテルを貼ることなく、マインドチェンジもしやすいです。「医師に診てもらうまでのことではない」と思われるかもしれませんが、お気軽に受診していただければと思います。出口を一緒に見つけましょう。
■社会不安障害
社会不安障害とは、対人的なストレスが他の人よりも強く、人に見られることや人前で恥ずかしい思いをすることが不安で、人と会うことや人が集まる場所に強い恐怖を感じる病気です。不安が強まりパニック発作を起こすこともあります。
自分ではわかっているけれど、不安な気持ちを抑えることが難しく、やらないといけないのにできなくなってしまいます。また、仕事に行ったり人と会ったりするのが億劫になり、閉じこもりがちになります。
誰でも、プレゼンや試験のときには緊張することがあります。しかし、不安が強すぎて日常生活に問題が生じていれば、社会不安障害かもしれません。
社会不安障害の症状
以下のような症状があれば、受診をおすすめします。
<社会不安障害の例>
- ひどく緊張してしまい、人前で司会やプレゼンができない
- 初対面の人と会話ができない
- 試験や面接のときに緊張してしまい頭が真っ白になる
- 人前で食事ができず、トイレの中で食べる
<身体的症状例>
人前で何かをするときに次のような身体的症状が出ることがあります。
- 手足、全身、声が震える
- 顔が赤面する
- 心臓がドキドキと息苦しくなる
- たくさん汗をかく
- 吐き気がする
- 口がカラカラに渇く
- トイレが近くなる
- 尿が出なくなる
- めまいがする
原因
人前での過去の失敗経験がトラウマになる経験的要因、人の目を気にしすぎたり、人見知りであったりする性格的要因、家族に社会不安障害の人がいる遺伝的要因があるといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
■社会不安障害の治療
診察
社会生活上の制限がないかどうかを含め、診察と心理検査で診断します。
治療
必要に応じてお薬での治療と認知行動療法を並行して行います。
<お薬による治療>
まず抗不安薬を服用し、効果があまりみられない場合には抗うつ薬を服用します。
<認知行動療法>
患者様自身の不安を少しずつ減らし、成功体験をつくることで、日常生活の行動の範囲を広げる治療です。例えば、人とお喋りして楽しめた経験や朝礼の司会がうまくいった経験など、小さな成功体験を増やしていきます。患者様のペースで治療を進めていきます。
社会不安障害はお薬で治すことはできませんが、お薬を服用することで不安が減り、自信が生まれ、認知行動療法が成功しやすい状況をつくることができます。成功体験が増えると不安も減っていきます。