強迫性障害の治療
本人は不合理であることを認識しているものの、不合理なことを何度も繰り返し、日常生活に支障をきたしている状態が強迫性障害です。患者様本人は、「こんなにやっても意味がない」「周りからはおかしいと思われているだろう」など、その行為は変だと感じています。
意味がないとわかっていてもやめられない、頭から離れないために、普段の生活が辛くなっている方は当院までご相談ください。
■強迫性障害
強迫性障害は不安障害の一つです。
誰しもが家に鍵をかけたかどうかを考えると不安になることはあると思います。ただ、このような不安が強すぎて何度も確認を繰り返し、待ち合わせや会議に遅刻するほどである場合には強迫性障害かもしれません。
また、強迫性障害の人の確認回数や確認方法は徐々にエスカレートしていく傾向があります。
本人の意思に反して頭から離れない考えを強迫観念、おかしいとわかっているがやめられない行為を強迫行為といいます。ほとんどの場合、強迫観念と強迫行為の両方を伴っていますが、片方だけの場合もあります。
本人が不合理であると認識していない場合は統合失調症を疑います。
強迫性障害の症状
以下のような症状があれば、受診をおすすめします。
<強迫観念と強迫行為の例>
- ドアに鍵をかけたかどうかが気になり、何度も家に戻って確認する
- 手の皮が剥けるまで30分近く何度も手を洗う
- 不潔だと思ってしまい、電車の吊革やドアノブを触れない
- 歩道の白線を踏まずに歩けない
原因
生育歴や性格、ストレスなど様々な要因が関係していると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
不合理だとわかっていても繰り返している中で、偶然だがラッキーな事象が生じると、強迫観念はさらに強くなってしまいます。
■強迫性障害の治療
診察
社会生活上の制限がないかどうかを含め、診察と心理検査で判断します。
治療
お薬による治療と認知行動療法を並行して行います。
<お薬による治療>
まずは抗不安薬を服用し、効果があまりみられない場合は抗うつ薬を服用します。
<認知行動療法>
患者様自身が不安に立ち向かい、やめられなかった行為をやらずに我慢していく治療になります。例えば、鍵をかけたかどうかが心配であっても、家に帰らず我慢するなどです。
患者様のペースで無理をせず、少しずつ不合理な行動を取り除いていきます。
強迫性障害は根本的にお薬で治るものではありませんが
お薬が効くと、不安は減ります。それによって、自信が生まれ、認知行動療法が成功しやすい状況をつくることができます。不合理な行為に悩んでいることに気付き、考え方を変えるように働きかけ、治療していきます。