不眠症・睡眠障害の相談・治療
メンタルクリニックを受診される方の最初の訴えとして最も多いのは、「眠れないこと」です。
当院では、眠れなくなった時期や原因をお聞きし、それぞれの状況に応じて治療を行います。
不眠の原因は様々で、多岐にわたります。生活環境やご自身の体の状態や精神状態も影響します。様々な可能性を考えた上で、一緒に相談しながら治療方針を決めていきましょう。
■不眠症・睡眠障害
不眠症・睡眠障害とは不眠が原因で、日中に眠気やだるさを感じ、集中力が低下するなど、日常生活に支障をきたしている状態をいいます。
人によって適切な睡眠時間は異なります。睡眠が5時間でも十分な人がいれば、8時間眠らないとすっきりしない人もいます。また、健康な人でも、年を取るとともに眠りが浅くなったり、朝早くに目が覚めたりすることが増えます。
不眠の症状がみられても、日常生活に支障がなければ大きな問題はありません。
<不眠症・睡眠障害の症状>
睡眠環境を整えても、以下の症状が1カ月以上続く場合は、受診をおすすめします。
- 寝入りが悪い
- 眠りが浅く、途中で何度も目覚める
- 早朝に目が覚めてしまう
- 睡眠時間は十分なのに、ぐっすり眠れたという気がしない
<不眠症・睡眠障害の影響>
不眠が続くと日常生活に支障をきたします。
- 日中にどうしようもない眠気が襲う
- 集中力や記憶力、注意力が低下し、仕事や運転にミスが生じる
- 1日中イライラする
- 何事もやる気が出ない
- 胃腸の調子が悪い
原因
不眠症・睡眠障害の原因は、環境因、身体因、精神科因の大きく3つに分けられます。
特に、睡眠時無呼吸症候群など、本人が自覚していない疾患が隠れていることもあり、検査で原因がわかるとすっきりされる方もいらっしゃいます。
<環境因>
時差ボケ、騒音がうるさい、暑い、寒いなどといった環境のことです。
1人暮らしだったのに、結婚してパートナーと2人で寝るようになったといった環境の変化も含まれます。
<身体因>
ケガや体の病気のことです。
頭痛がする、虫歯が痛いなど、本人の自覚症状があるものもあれば、甲状腺機能亢進症や更年期障害、睡眠時無呼吸症候群など、検査をして原因を見つけないと疾患がわからないケースもあります。
<精神科因>
「明日試験だから不安だ」、「仕事のストレスが溜まっている」といった心の緊張によるもの、うつ病や統合失調症によるもの、原因不明の不眠があげられます。
ここが精神科の領域です。
■不眠症・睡眠障害の治療
診察
まず、診察では、いつから眠れなくなったのかを伺い、眠れなくなった原因が何かを確認させていただきます。
環境因がなければ、身体因を疑います。必要に応じて検査を行い、身体疾患が見つかれば、疾患の治療を行います。
身体疾患もなければ、不眠症・睡眠障害だと考えられます。
不安が強くて眠れない場合や、うつ病、統合失調症などの精神疾患が原因で眠れないこともありますが、原因不明の場合もあります。原因不明の場合は不眠症と診断されます。
治療
不眠症・睡眠障害の治療は生活習慣の改善とお薬による治療があります。
<生活習慣の改善例>
- 静かな環境や、温度調節など、睡眠を取りやすい環境を整えていきます。
- 寝る前に音楽を聴いたり読書をしたりするなどリラックスできる時間をつくります。
- 眠りにつく4時間程前に食事し、1~2時間前に入浴をするようにします。
- 夕方に軽めの運動をするようにします。
<お薬による治療>
生活習慣や環境の改善を行っても症状が改善しない場合は、睡眠導入剤による治療を行います。
うつ病や統合失調症などの精神疾患の場合は疾患の治療も並行して行います。
睡眠導入剤は、以下それぞれのタイプに合わせたお薬がありますので、生活環境や飲酒状況を伺ったうえで選択します。最近は依存性がなく、副作用も少ないお薬が開発されています。
- 寝つきが悪い
- 途中で目覚める
- 眠りが浅い